映画っていいねえ。本っていいねえ。

映画や本の感想など。ネタバレ全開なので、ご注意ください。

『戦場のメリークリスマス』感想3回目。作品中の裏切りについて考えてみた。

※注意!『戦場のメリークリスマス』、「影さす牢格子」「種子と蒔く者」(ヴァン・デル・ポスト『影の獄にて』収録)のネタバレがあります。

 

 

 

二回ほど『戦メリ』についての感想を書いてきたが、その後で、ふと目に止まった言葉があった。

セリアズ役のデヴィッド・ボウイが語ったという言葉だ。

「原作から映画へ話の形態が変わった時、ヨノイとセリアズのキャラクターはもっと具体的な一対一の関係のようなものになったと思います。ジューダスがキリストを裏切り、恥と罪悪感のあまり自殺したが、二千年に亘ってその過ち、その恥、その罪悪感が繰り返しに繰り返されて来たというか、そんな二千年の重みを原作から感じとったんです。ところが、映画の方はこの裏切りのテーマを扱いながらも、日本の文化や思想を背景に、ヨノイとセリアズという二人の人物を通じて、もっと明確にそれを伝えているのではないかという気がします」

 

 

引用元:『戦場のメリークリスマス―シネマファイル』、講談社

色々と考えさせられてしまった。原作でもユダ(ジューダス)とキリストの関係について触れているくだりもあったなぁ…。

 

過去に感想を書いたとき、私は意図的に宗教的なテーマに触れるのは避けていた。理由は単純で、壮大すぎて私の手に負えないテーマだからだ。とはいえ、やはり『戦メリ』を語る上で宗教の話は避けられないし、それに絡んだ形で「裏切り」というモチーフにも注目する必要があるように感じた。

 

そういうわけで、今回は作中の裏切りについてごちゃごちゃ考えてみた。

過去の二回の感想の内容を踏まえているので、この感想から初めて読む方に対して非常に不親切な内容になっていることを、あらかじめお詫びさせていただく。

 

 

感想1回目(4/18、追記しました)

nhhntrdr.hatenablog.com

 

感想2回目

nhhntrdr.hatenablog.com

 

 

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映画に関する雑記(2022/4/10、『ディア・エヴァン・ハンセン』『戦場のメリークリスマス』)

『戦メリ』上映のため片道三時間くらいかけて埼玉県に行ったり、『ディア・エヴァン・ハンセン』のブルーレイが遂に我が家に来たりと、この週末は私の趣味的に忙しかった。

 

『ディア・エヴァン・ハンセン』をこれからは観たいときに観られるということで、私は満足だ。いや、まだミュージカル版を観たいぞという願望はあるのだが。まだつまみ食い的な観賞しかしていないので、また時間を取ってじっくり観たいと思っている。

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『戦場のメリークリスマス』4K修復版のチケットをゲットした

最近になって『戦メリ』に再ハマりしたから、去年4K修復版の上映が行われていたなんて知らなんだ。あー、何ボーッとしていたんだ、去年の私よ。一回ぐらい「戦場のメリークリスマス」とネット検索すれば、4K上映の情報をゲットできたであろうに!

ということで、4K上映に間に合わず、拗ねていた今日この頃。あえて4Kの情報は避けて生きていた(大げさ)。

しかし、よくよく公式サイトを見れば、まだ上映日が控えている劇場があるじゃないか!慌ててチケットをゲットした。

oshima2021.com

欲を言えば複数回見たかったのだが、一度だけでもスクリーンで観賞できることの何と幸運なことか。今からワクワクが止まらない。

そういうわけで、チケット取得後からアマプラで予習にいそしんでいるところである。

 

どうでもいい話だが、セリアズの軍事裁判のパートのヨノイが、最初はセリアズに目もくれず、手袋を外すのに夢中になっているのに気づいて笑いそうになった。あー、ヨノイってセリアズの見た目ではなく、彼の言葉や人柄に興味を惹かれたのかー、と思ったわけである。手袋を必死ではずしていたヨノイが、セリアズが言葉を発してからはガン見する。とことんわかりやすい人だ。自分を偽ることができないタイプというか何というか。

満洲に左遷されたというのも、失態によるものではなくて、上官に嫌われて不当な評価をつけられたからなんじゃないだろうかと余計な勘ぐりをしてしまった。そんな不器用なところも含めて、ヨノイが好きだ。

 

明日の上映に備え、引き続き予習に励むつもりである。あー、楽しみだ。今夜眠れるだろうか。楽しみすぎて眠れないかもしれない。

 

 

過去にアップした『戦メリ』感想はこちら。

nhhntrdr.hatenablog.com

 

nhhntrdr.hatenablog.com

 

 

 

金蓮花『銀葉亭茶話』シリーズの思い出を語ってみる

※注意!『銀葉亭茶話』シリーズ各巻のネタバレがあります。

 

中学生の頃にハマり、今でもたまに読んでしまう作品がある。コバルト文庫から刊行されていた『銀葉亭茶話』シリーズだ。

小学校高学年の頃はもっぱらコバルト文庫ピンキーの作品を購入していたので(『赤ずきんチャチャ』のノベライズとか)、中学になって本家のコバルト文庫に手を出したとき、「私は大人になった!」と感動したものである。

kotobank.jp

 

ただ、中1の私に『銀葉亭茶話』シリーズの話は難しく、きちんと理解しきれなかった。歴史物の作品だったため雰囲気が硬派だったし、文語調の文章も、あの頃の私には硬すぎた。にもかかわらず、不思議な魅力を感じて何度も何度も読み返したものだ。10代後半、20代、30代と繰り返し読むうちに登場人物の心の機微が新たに見えることもあり、折々で感じ方が変わったりもした。中学生の頃から今まで、私の人生にそっと寄り添ってくれたシリーズだったように思う。

 

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『コーダ あいのうた』に関する雑感

※注意!『コーダ あいのうた』のネタバレがあります。

 

『コーダ あいのうた』について、過去にちょろっと語ったのだが、もう少しだけ語りたくなってきた。

観賞したのがかなり前なので、内容について勘違いしている可能性があるかもしれない。これについては、あらかじめお詫びしておきたいと思う。

nhhntrdr.hatenablog.com

 

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好きなのに、もう一度観ることができないトラウマ映画たちを語ってみる

※ネタバレあります。ご注意ください。

 

好きなのに、できることならもう一回観たい気持ちもあるのに、観ることができない映画が私にはある。

簡単に言うと、トラウマなシーンがあるために再度観賞ができないのだ。「そのシーンだけ目をそむけたり、薄目を開けて観りゃいいじゃんかよう」と自分で自分に言ってやりたいが、それでもビビりの私はトラウマ映画から逃亡してしまうのであった。

 

今回は、そんな私にとってのトラウマ映画(でも好き)の話である。

 

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「Hey Joe」という歌に惹きつけられて仕方がない

※注意!『テルマ&ルイーズ』のネタバレがあります。

 

「Hey Joe」を知ったのは、ラース・フォン・トリアー監督の『ニンフォマニアック』を観たからだった。

この映画、色情狂の女性を主人公にしたもので、観ている者の暗部を揺さぶり、引きずりだし、ずたずたにするような作品だった。色々と私の理解を超えているので、「せいよくってこわいなとおもいました」という小学生並みの感想以外言えそうにない。

脳みその隅から隅を蹂躙された後、エンディングロールに突入。そのときに流れるのが主演のシャルロット・ゲンズブールが歌う「Hey Joe」だ。シャルロット・ゲンズブールのウィスパーボイスに、浮遊感に満ちたアレンジ。「はい、二部作完走お疲れ様。最後は気持ち良くしてやるよ」と言わんばかりの、トリアー監督からのねぎらいに私は平伏し、たちまち「Hey Joe」という曲に惹きつけられてしまったのだった。

Hey Joe

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