映画っていいねえ。本っていいねえ。

映画や本の感想など。ネタバレ全開なので、ご注意ください。

映画

ショッキングな映画を観たとき、上手く気持ちを切り替える方法はないものか

映画観賞において感情を動かされるというのは大事なことだと思う。ハッピーになる、泣けるというポジティブなものだけでなく、悲しくなる、怒りを覚える、絶望を感じる等々、ネガティブな感情の動きだって、映画観賞の醍醐味だろう。2時間も観て何も感じず、…

映画版『美しい星』感想(ネタバレあり)

※注意!映画版『美しい星』のネタバレがあります。 三島由紀夫の同名小説を原作とした作品。あらすじは以下の通り。 “当たらない”お天気キャスターの父・重一郎、野心溢れるフリーターの息子・一雄、美人すぎて周囲から浮いている女子大生の娘・暁子、心の空…

映画版『メタモルフォーゼの縁側』感想(ネタバレあり)

※注意!映画版『メタモルフォーゼの縁側』のネタバレがあります。 あらすじ 優しさにあふれた作品 安易に泣かせません! あらすじ 毎晩こっそりBL漫画を楽しんでいる17歳の女子高生・うららと、夫に先立たれ孤独に暮らす75歳の老婦人・雪。ある日、うららが…

『西部戦線異状なし(1930年版)』感想(ネタバレあり)

※注意!『西部戦線異状なし(1930年版)』のネタバレがあります。 あらすじ 戦闘シーンの迫力 コメディリリーフ的なキャラクター 侵されていく人間性 希望が叩き潰される 最後に あらすじ 欧州大戦に於て西部戦線の戦いたけなわなる頃。ドイツのある町の学校…

最近観た映画についての軽めの感想(2023/07/10 『三島由紀夫vs東大全共闘』『アビゲイル・ハーム』『アラビアのロレンス』)

※注意!『三島由紀夫vs東大全共闘』『アビゲイル・ハーム』『アラビアのロレンス』のネタバレがあります。 『三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実』 『アビゲイル・ハーム』 『アラビアのロレンス』 『三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実』 がっつり感想…

最近観た映画についての雑感(2023/6/21 『ザリガニの鳴くところ』『トガニ 幼き瞳の告発』『ケロッグ博士』)

突然で申し訳ないが、現在肩が痛くて仕方がない。2ヶ月前ぐらいからだろうか。肩甲骨の辺りにゴリゴリした凝りが生じてきた。肩こりになるのは之が初めてではない。ただ、いつもなら上半身のストレッチを続けたら治っていたのだが、何故だか今回は治まってく…

『戦場のメリークリスマス』感想記事リンク集

以前は「大島作品の感想記事リンク集」として他の作品の感想記事と共にまとめていたのですが、『戦メリ』の感想や関連記事が増えたので独立させました。 感想記事 番外編:ヴァン・デル・ポスト著『新月の夜』感想 関連書籍について 軽く『戦メリ』に触れて…

セリアズの物語として『戦場のメリークリスマス』を見てみたい

※注意!『戦場のメリークリスマス』『影の獄にて』『絞死刑』のネタバレがあります。 個人的には『戦メリ』は群像劇だと思うし、セリアズ、ロレンス、ヨノイ、ハラのそれぞれが主人公なのだと考えている。ただ、その中でもセリアズを軸にして物語を見てみた…

大島渚監督作品『絞死刑』感想(ネタバレあり)

※注意!『絞死刑』のネタバレがあります。 ※人名は全て敬称略としております。 大島渚監督作品。1968年公開。 主人公Rのモデルは、実在の死刑囚・李珍宇(り・ちんう、イ・チヌ)。女子高生が殺された小松川事件の犯人として、1962年に死刑を執行された。 ja…

『無理心中 日本の夏』の田村正和が好きだと言いたいだけの記事

現在、国立映画アーカイブで大島渚展が開催中だ。それに伴い、大島監督の作品の上映会も行われている。 ※2023年7月現在、上映会は終了しています。展示会は8月6日まで。 ※展示会も終了しました(2023年8月23日追記) www.nfaj.go.jp というわけで私も『無理…

主人公の変革の瞬間を描いた映画のシーンについて考えてみる

※注意!『タクシー運転手 ~約束は海を越えて~』『モアナと伝説の海』のネタバレがあります。 『殻を破る』=変革する主人公たち 変革した実例 『タクシー運転手 ~約束は海を越えて~』 『モアナと伝説の海』 象徴的な死 『殻を破る』=変革する主人公たち…

『戦場のメリークリスマス』ヨノイのメイクって何だったんだ?

※注意!『戦場のメリークリスマス』のネタバレがあります。 ヨノイのメイクについて、考えなくてもいいのに考えてみた 自然主義的な描き方をされている『戦場のメリークリスマス』の中で、例外となるのがヨノイのメイクなのではないだろうか?いかにも「メイ…

『PLAN75』感想

※一応、軽く展開に触れることもあると思うので、まっさらな状態で『PLAN75』を観たい人は、ご注意ください。逆に、今回は全面的に私の感じたことしか書かない予定なので、どんな話の流れかを知りたい方のご期待には応えられない記事かと思います。

『ラストエンペラー』(オリジナル全長版)ネタバレ感想

※注意!『ラストエンペラー』のネタバレがあります。 先日、劇場で鑑賞して感動した『ラストエンペラー』。いやあ、本当に劇場での鑑賞は良かった!というわけで、『ラストエンペラー』が如何に劇場で見るべきな映画なのかは以下の記事で書いておいた。 nhhn…

沸騰した血が冷めたところで(アニメ版『ジョゼと虎と魚たち』ネタバレ感想)

※注意!アニメ版『ジョゼと虎と魚たち』のネタバレがあります。また、ネガティブな内容の感想となっていますので、ファンの方は読まないことをおすすめします。

我が家にある『戦場のメリークリスマス――シネマファイル』についての話

以前にも記事で書いた通り、現在『戦場のメリークリスマス』が全国上映中だ。 上映館に行けば、ポスターやTシャツ、トートバッグなどのグッズも買えるし、新宿武蔵野館では関連資料やボードの展示も行われている。戦メリコラボ実施中のレストランへ行けば、…

『戦場のメリークリスマス』を観て「理屈を超えた何か」について考えさせられた

2023年1月16日現在『戦場のメリークリスマス』が上映中だ。先日は5時間にも及ぶ配信イベントがあったし、13日の上映開始以降は東京や横浜のタイアップ店舗で戦メリにちなんだフードやドリンクが楽しめるようになっている。今『戦メリ』が熱い。『戦メリ』祭…

大島渚作品の感想記事リンク集

大島渚作品についての記事をまとめてみました。随時更新予定。 ちなみにブログ主の推し作品は『日本の夜と霧』『日本春歌考』『無理心中 日本の夏』『夏の妹』。大島作品常連俳優で好きなのは戸浦六宏さんです。 東京战争戦後秘話 樋口尚文編著『大島渚全映…

『ラストエンペラー』を映画館で観たら、感動しすぎて脳汁がドバドバ出てしまった

本日、ヒューマントラストシネマ渋谷で『ラストエンペラー』を観てきた。正直なところ、ネットでチケット予約した直後から「チケット取っちゃったけど、渋谷まで行くのダルい…」と及び腰になっていた。『ラストエンペラー』ならブルーレイ持っているから、い…

『コーダ あいのうた』ネタバレ感想②

※注意!『コーダ あいのうた』のネタバレがあります。 『コーダ』の感想の続きを書きたいと思う。前回はルビーについて書いたが、今回はもう一人のヴァージンについての感想だ。 nhhntrdr.hatenablog.com 『コーダ』はヴァージン型主人公ルビーの話だと前回…

『コーダ あいのうた』ネタバレ感想①

※注意!『コーダ あいのうた』のネタバレがあります。 今回、感想を書きたいのが『コーダ あいのうた』。過去にも何回か感想は書いているのだが、今回は「ヴァージン」という概念を踏まえての感想を述べたいと思う。 ※ヴァージンとは、キム・ハドソン氏が『…

キム・ハドソン『新しい主人公の作り方』――女性的ストーリーを生きる「ヴァージン」という主人公像

物語は大きく「男性的なストーリー」と「女性的なストーリー」の2種類に分かれるらしい。これは主人公が男性か女性かという違いではない。男性的なストーリーというのは「ヒーローの旅」であり、女性的なストーリーとは「ヴァージンの自己実現」であるとキ…

最近観た映画の感想を手短に書いてみる(ネタバレあり)

またまた更新が滞りまして、申し訳ありません。二週間近くサボっていると、すっかり文章を書く感覚も鈍ってしまいまして(言い訳)。 今回の記事は、リハビリも兼ねた短文感想を連発するようなスタイルで行ってみたいと思います。ここ最近観た中で、記憶に残…

『オテサーネク 妄想の子供』を観て食欲を失ってしまった(ネタバレ感想みたいなもの)

※注意!『オテサーネク 妄想の子供』のネタバレがあります。 何というか、かんというか。どんでもねーもんを観てしまった。『オテサーネク 妄想の子供』。 あらすじはこんな感じだ。 子どものいない妻を慰めようと、夫ホラークは木の切株を赤ちゃんの形に削…

『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』についての雑感(ネタバレあり)

※注意!『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』のネタバレがあります。 私はマクドナルドが好きだ。モスバーガーも美味しいし、バーガーキングやフレッシュネスバーガーも愛好しているのだが、最後にはマクドナルドに戻ってきてしまう。 生まれて初めて…

『日本の夜と霧』ネタバレ感想

※注意!『日本の夜と霧』のネタバレがあります。 大島渚監督の初期作品『日本の夜と霧』。1960年に公開された作品で、学生運動が大きなテーマとなっている。1960年と言えば安保闘争の年。6月、デモに参加していた女子大生・樺美智子が闘争の最中に圧死した事…

『大島渚全映画秘蔵資料集成』を買った

欲しい欲しいと思っていた『大島渚全映画秘蔵資料集成』を購入した。新文芸坐の『戦場のメリークリスマス』上映会で著者・樋口尚文さんのサイン会が開かれると聞いて、買うなら今だと決断した次第。 6/17(金)は、新文芸坐にて『戦場のメリークリスマス 4K修…

『ジョジョ・ラビット』ネタバレ感想

※注意!『ジョジョ・ラビット』のネタバレがあります。 『ジョジョ・ラビット』を今さら観た。良かった!めちゃくちゃ良かった!もっと早く観るべきだった! そういうわけで、私は傑作に出会えた喜びで少々興奮している。以下の文章も、興奮が抜けきっていな…

最近観た映画についてネタバレ感想(2022/5/22、『えんとつ町のプペル』、『君の名前で僕を呼んで』)

※注意!『えんとつ町のプペル』、『君の名前で僕を呼んで』のネタバレがあります。 すみません、更新をサボっていました。基本的に気まぐれな人間なので、更新の頻度にムラが出てしまうのがいけないなぁと反省しております。今後も気まぐれ更新で続けていく…

『エセルとアーネスト ふたりの物語』ネタバレ感想

※注意!『エセルとアーネスト ふたりの物語』のネタバレがあります。 子供の頃、『さむがりやのサンタ』の絵本が好きで、何度も何度も読んでいた。その作者レイモンド・ブリッグズ原作の映画ということで、興味を惹かれて『エセルとアーネスト ふたりの物語…