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ディズニー・チャンネル『キャンプ・ロック』ネタバレ感想――歌はセリフより雄弁だ!

※注意!『キャンプ・ロック』のネタバレがあります。

 

2008年だったか2009年だったか。何とはなしにテレビをつけたままにしてパソコン作業をしていた私は、突然流れてきた歌に耳を奪われた。

何、この歌?え、CM?『キャンプ・ロック』って映画だか海外ドラマだかのCM?

慌てて『キャンプ・ロック』という作品名を手もとのパソコンで調べて出会ったのが、ディズニー・チャンネルのオリジナルドラマ『キャンプ・ロック』の劇中歌「This Is Me」だった。

ちなみに、私が見かけたのはDVDのCMだったのかな?間もなくCDとDVDも手に入れることができた。

とにかく私にとって「This Is Me」の破壊力はすごくて、この歌ばかりをリピートしていた。当時は仕事で悩んでいる最中で自分を見失っていただけに、「これが私」というメッセージは失いかけた己を辛うじてつないでくれていたのだ。

 

 

 

歌っているのは主人公ミッチー役のデミ・ロバート。『アナ雪』のエンディング版『Let It Go』も良かったなぁ。


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ちなみにミッチーの相手役はジョナス・ブラザーズのジョー・ジョナスだ。つくづくキャストが豪華なドラマである。

 

 

 

 

「自分さがし」がテーマのミュージカル

『キャンプ・ロック』はミッチーの自分さがしの物語だ。歌が好きで華やかなステージに憧れている。でも、自分はいまいちパッとしない存在で、誰も注目してくれない……。ミッチーは劣等感コンプレックスを抱え、自分の居場所を見つけられずにいた。

そんなミッチーが皆に注目されたいがために嘘を言う。己の存在を偽るような嘘だ。これによってミッチーは皆に一目置かれ、トップカーストの女の子から仲間に誘われ、彼女の取り巻きになる――

 

このドラマはミュージカルだ。随所で登場人物たちが歌い出す。とはいえ『キャンプ・ロック』の舞台は歌手になりたい若者が集まったキャンプということで、彼らが歌うのも自分の歌を披露するという流れだから、「今まで喋っていたのに、いきなり歌い出した」といった不自然さはない。

 

 

主人公の心に寄り添う音楽

個々のキャラクターが思い思いに歌っているようでいて、実はミッチーの心の変遷に沿っているのが面白い。

 

オープニングで流れるのがミッチーによる「Who Will I Be」。「どんな私になるか、それは自分次第。可能性はいっぱいある」と希望にあふれたミッチーの気持ちが綴られている。

 

夢だったキャンプ・ロックに参加できたものの、華やかな周りに圧倒されたミッチーがひとりで寂しげに歌うのが一回目の「This Is Me」。これは私がテレビで見たガンガンのロック調ではなく、しっとりとしたピアノソロ。「これが私」というメッセージに、まだ自信のなさが滲んでいる。

 

嘘をついて女王様ポジションのテスと仲良くなったはいいが、結局彼女のバックコーラスにしかなれない。そんな苦悩をミッチーが抱える中でテスが歌うのが「Too Cool」。

「あなたと違って私は超イケてるの」とミッチーを叩きのめすように歌うテス。自信満々の姿がまさにToo Coolなのである。

 

自信を喪失したミッチーだが、それでも彼女の良さに気づく人もいる。キャンプ・ロックの客寄せとして参加していた人気バンドのボーカル、ジョー・ジョナス演じるシェーンだ。彼は世間から求められている歌と自分の歌いたいものとの間に乖離を感じていた。そんな中で出会ったのがミッチーだった。

シェーンが新たにつくった歌「Gotta Find You」をミッチーの前で披露する。「君の声が僕の中に聞こえる。君を捜さなきゃ」というメッセージ。シェーンはふと聞こえてきた歌声に心惹かれ、ずっと歌声の主を捜しているのだ。その歌声の主がミッチーだということは、シェーンもミッチー自身もまだ気づいていない。


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このままテスの取り巻きでいるべきなのか、いや、違うのでは?やがてミッチーだけでなく、同じく取り巻きのペギーにも自我が芽生え始める。そんなペギーが歌う「Here I Am」。「私はここにいるのだと、声を張り上げて」と歌い、ペギーはその他大勢からの脱却を果たす。

 

自らのついた嘘の結果、ミッチーは手痛いしっぺ返しを食らう。苦悩の中で彼女が辿り着いたのが、飾り立てた自分ではない本当の自分だ。

人の前では上手く歌えなかったミッチーが、ステージにのぼり、堂々と「これが私」と歌い上げる。2回目の「This Is Me」だ。


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ステージに背を向けていたミッチーがサビに入った瞬間、バッと前を向くのがすごくいいと思いません?ここで私はもう涙腺決壊である。

 

 

最後に

虚飾の自分から脱却し、あるべき自分の姿を見つける。そんな成長物語を、まわりくどいセリフで表すのではなく、歌手志望の若者たちの歌として表現する。『キャンプ・ロック』は青春の苦悩と打破を描いた良作ミュージカルドラマだ。

 

上に挙げた曲以外にも良曲が揃っていて、サウンドトラックはヘビロテ物である。エンディングで流れる底抜けに明るい「We Rock」、キャンプ・ロックが終わり、改めて集合したミッチーやテスたちが歌う「Our Time Is Here」は楽しい雰囲気ながら、終わりゆく少女時代へのノスタルジーが漂っている。音楽アルバムとしても素晴らしい出来なので、本当に本当にオススメ!

 

あと、DVDの特典映像も見逃せない。「Too Cool」シーンのメイキングがあるのだが、テス役のメガン・マーティンがめちゃめちゃかわいいのだ。作中ではテスとしてお高くとまっているのに対し、「倒れるまで踊るわ」と言っているところにギャップ萌えしたぞ!