現在、国立映画アーカイブで大島渚展が開催中だ。それに伴い、大島監督の作品の上映会も行われている。
※2023年7月現在、上映会は終了しています。展示会は8月6日まで。
※展示会も終了しました(2023年8月23日追記)
というわけで私も『無理心中 日本の夏』の上映に行ってきた。で、改めてこの作品を観て思った。
若い頃の田村正和、すんげえ可愛い!
私が物心ついたときには、すでに田村正和って「素敵なおじさま」みたいな感じの人だったし、『古畑任三郎』がヒットしたときには「やだ、しゃべり方がネットリしすぎ!」と狼狽したりもした。当たり前だが、そんな大御所にもフレッシュな時期があったのね、と改めて実感させられた次第。
ということで、今回の記事はタイトルの通り『無理心中~』の田村正和についての萌えを吐き出すためだけのものであり、作品の内容とかを知りたい方のご期待には応えられないものとなっている。『無理心中~』がどんな話なのかは、むしろ私が知りたい。あらすじは以下の通りなのだが。
大島渚が「日本春歌考」に続いて監督した実験的作品。男を求めてさまようネジ子は、路上で男と出会い海岸へ行く。しかし男は自殺願望があり、ネジ子を抱こうとはしなかった。そこへ制服姿の男たちが現れ、武器の入った箱を運び出すところを、ネジ子たちは目撃してしまう。二人は男たちに連れ去られ、郊外の廃墟であるアジトに監禁される。アジトにはヤクザの出入りのために雇われた男たちがいたが、出入りは中止になり、ヤクザはいなくなってしまった。
とにかく登場人物が濃い。メインの男女はこんな感じだ。
- ネジ子:何かというと男と寝たがるが、相手にされずに心が痛まれちゃっている。パンツを履いていない。
- オトコ:誰かの手で殺されたがっている。事あるごとにネジ子に迫られるが、殺されることに夢中過ぎるため相手にしようとしない。
その他、いちいちテレビを持ち歩いている「テレビ」とか、アロハシャツ姿に拳銃という奇妙な出で立ちの「おもちゃ」、人殺しの経験があると豪語する褌姿の「鬼」など、変人という変人が集まっている。
田村正和が演じているのは「少年」。彼はライフルが大好きで、とにかくライフルを手に入れて誰かを殺したくて仕方がないという、これまたとち狂ったキャラクターだ。
『無理心中 日本の夏』の田村正和、ここが良い!①
まず最初に言いたい。イケメンです。中高年時代の田村さんはダンディな方だったのだが、若い頃はこんなにも瑞々しくちょっと危うさも孕んだ美少年だとは知りませんでした。
『無理心中 日本の夏』の田村正和、ここが良い!②
とにかくライフルで人を撃ち殺したいという狂った設定のキャラだが、佇まいから育ちの良さが感じられるのが良い。他の男性キャラが汚れた格好をしている中、少年はお上品なプレッピースタイルである。むくつけきキャラの中に一人交じっている爽やかな風貌の少年というのが、個人的に好きです。萌えます。
『無理心中 日本の夏』の田村正和、ここが良い!③
プレッピースタイルと書いたが、端から端まできっちりと着ているわけではない。衿もとをきっちり閉めていないし、ズボンはクロップド丈。上品な格好でありながら、絶妙なカジュアル感を混ぜ込んでいるのが非常に良い!これで「良い家庭に生まれたやんちゃ坊主」というイメージがガンガンに伝わってくる。ハイソさと無鉄砲さのギャップが好きです。萌えます。
『無理心中 日本の夏』の田村正和、ここが良い!④
ライフルを求めてヤクザのアジトに入り込み、そこでネジ子と出会った少年。ネジ子から色っぽく誘われるも、ライフルを探すことに熱中するあまり、応えようとしない。「こんな思春期で良いのか!」と不安になる。巨乳女子に迫られているんだぞ、なあ?
とにかくライフル大好き。重火器を見た瞬間、すぐに飛びつこうとする。おバカもここまで至ると、むしろ可愛く思えてくる。
最後に
「少年」についての話ばかりしていたが、ネジ子のキャラクター設定の絶妙さも小気味良かった。殺し合いに備えて男たちが緊張感を高めている中、ネジ子はとにかく「男と戦争すること」を求める。時に危険な目に遭うこともあるが、彼女は軽く受け流す。男たちに抱かれず「心が痛まれちゃった」りしても、言うほど傷ついている様子もない。奇妙なまでに安定感のあるネジ子のキャラクターゆえに、『無理心中~』が何の話だかよくわからなくても存分に楽しめた。
そんな変人博覧会の『無理心中 日本の夏』が私は好きだ。そして、キュートな田村正和を楽しめるという意味でも好きだ。大好きだ!(締まらない終わり方ですみません)
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