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『ドラゴンクエストⅣ』のライアンさんにのぼせていた頃の話

前回に引き続き、またしても自分語り記事で恐縮である。

現在、実家に滞在中なのだが、ふと本棚に小説版『ドラゴンクエストⅣ』があるのを発見し、懐かしくなってしまったのだ。

 

私のドラクエデビューを飾ったのが『Ⅳ』なので、この作品は特に思い入れがある。その中でも私はプレイヤーキャラの1人であるライアンさんにのぼせていたのだった。

 

 

前回の記事で年がバレるような記述をわんさかしたため、今回も開き直ってしまおうと思う。

私がドラクエⅣを手に入れたのは小学生のとき。まだスーパーファミコンは登場していない辺りだ。

ファミコンを買ってもらったのがクラスメイトより遅かったので、男子たちがドラクエで盛り上がっているのを指を咥えて見ていたものだ。

なんか魔法とか使っていて、楽しそうだな〜、とか考えていた。男子たちが持っている呪文一覧が書かれた下敷きを見せてもらい、「私もよくわからないけど、このメラゾーマとかイオナズンとかを使ってみたい!」とドラクエ呪文への憧れが募っていく。

 

そんな経緯があったため、ファミコンドラクエⅣを手に入れたときは嬉しかった。さて、私もメラとかギラとか使っちゃうぞー!と張り切った。

だがしかし。

ドラクエⅣをプレイしたことがある人ならわかると思うが、この作品、ストーリーが細かく分かれていて、第一章から第五章までという章立て構成となっている。

もちろん、好きな章から進めることはできないので、第一章から始めるわけだ。

 

ここで私は戸惑った。第一章の主人公は戦士のライアンなのだ。戦士だから、ライアンは剣で戦う。呪文は一切使わない。

ここで少しテンションが下がってしまった。とはいえ、第二章には魔法使いのキャラがいるらしいから、ゲームを進めていくしかない。

 

さらに、である。私はそれまでRPGに触れたことがなかった。ドラクエより前に遊んでいたのは『スーパーマリオ3』であり、このゲームにはセーブ機能がない。おかげで私はゲームを進めてはセーブするという行為を知らなかったのだ。

 

いや、本編中できちんと街の人が「ちゃんと教会でお祈りしないと、冒険の内容が記録されないよ」と言ってくれているのだ。

だが、今でも人の話を聞かないことに定評のある私は、しっかりそのアドバイスを受け流してしまった。

おかげで2ヶ月ほど、私はセーブせずにゲームを終了し続けた。当たり前だが、ストーリーがまったく進まない。

さらに愚かな小学生時代の私は、強い武器を求めた。スタート地点のバトランド城下町で売っている「いばらのムチ」が欲しい。だが、お金が足りない。なら、持ち物を売っちゃえばいいじゃん!そう思ったわけだ。

そして私は、せっかくライアンさんが初期から装備している「かわのよろい」をひっぺがして売り払い、いばらのムチを買ったのだった。

当然、ライアンさんの防御力が下がってしまうわけで、やたらとモンスターに殺される。殺されて教会へと送り返されて、またフィールドに繰り出しては殺される。まったくレベルアップできない。

 

クラスの男子に話を聞いているうちに、教会でお祈り(セーブ)すること、防具を装備することの重要さを理解した私はハニワ顔になった。

私は今まで何をやっていたのだろう。

とにかくアドバイスに従ってゲームを進め、初めて「イムルへの洞窟」というダンジョンを突破し、「イムルの村」にたどり着いたときの感動と言ったら!

 

その後の攻略はスムーズに済んだと言いたいところだが、今度は第2のダンジョン「古井戸の底」で躓く。

本来はこのダンジョンでお助けキャラ「ホイミン」を仲間にしてから、重要アイテム「そらとぶくつ」をゲットするようにゲームは設計されている。

大体、古井戸の底に入ると「こっちへおいでよ」という声が聞こえてくるので、その声に従って進めばホイミンと出会えるのだ。さらに、道を間違えると「そっちじゃないよ」とご丁寧にアドバイスしてくれるという親切設計!

 

だが、人の話を聞かない私は適当に進み、先に「そらとぶくつ」を手に入れた。このアイテムは第一章の最終ダンジョン「湖の塔」に一瞬で行けるアイテム。私はホイミンと出会わないまま、湖の塔へと乗り込んだ。

さすがに最終ダンジョンだけあって敵が強い。そして、ライアンさんは戦士だから回復呪文が使えない。私はまたしてもライアンさんを死なせまくった。

クラスの男子に相談したところ、回復呪文が使えるホイミンを仲間にしないといけないとアドバイスを受けたので、慌てて古井戸の底に戻ったのだった。

 

おかげで何とか湖の塔にいる第一章のラスボスも倒し、うちのライアンさんはようやく物語の発端だった子供の誘拐事件を解決できた。

そして、待ちに待った第二章である。ここではクリフトとブライというキャラが呪文を使えるらしい。ああ、ようやく私も呪文が使えるのだ。

 

 

だが、なぜか気分が乗り切らない。第二章自体は楽しいのだ。第一章よりも行動範囲が広がるし、物語も複雑化している。さらには剣で攻撃する一方だった第一章に比べ、戦闘も戦略性を要求されてくる。まさにRPGの醍醐味的な面白さを味わっている最中だ。

それなのに、なぜか心にぽっかり穴が空いたよう。幼い私は戸惑った。

そうだ、これはライアンさんがいないせいだと気づいたとき、私のライアンさん萌えが始まったと言っていい。長いこと旅を共にしているうちに、情が湧いてしまったのだ。失って初めてわかる存在の大きさ。ライアンさん、帰ってきて!

 

私は第五章でライアンさんと再会できることを夢見てゲームを進めた。

実は第三章でつまづいて半年ほどゲーム進行が滞ったりもしたが、またの機会に語れたらと思う。この話をドラクエ友達にしたとき「どうしてめちゃくちゃ簡単な第一章と第三章で躓くのか」と呆れられた。自分でも何故だかよくわからない。

 

 

艱難辛苦の末、私は第五章にたどり着いた。ここでは主人公の勇者が第一章から第四章までのキャラを仲間にして、敵に立ち向かっていくことになる。この中で一番最後に仲間になるのはライアンさんで、「キングレオ城」で中ボスを倒す必要があるという話はクラスメイトから聞いていた。

さて、今なら一目散にキングレオ城に行き、中ボスを倒すところだが、何故か当時の私は金策に走った。15,000ゴールド稼ぐまで、私は狂ったようにモンスターと戦い続けた。そして目標金額を達成した後、私は船に乗って「リバーサイド」という街に向かった。

この街は本来なら冒険の終盤に向かうべき場所なのだが、フィールドに上陸する必要のない場所にあったので、船さえ持っていればレベルが低くても街に入ることができた。

終盤の街だから、売られている武器も防具も強力だ。私はここでライアンさんのために「ドラゴンキラー」を購入。そして、ようやくキングレオ城に向かったのだった。

 

 

ドラクエ友達はよく「ライアンは加入時期が遅いから、仲間に加わったときは弱い」と言っていたが、うちのライアンさんは強かった!ドラゴンキラー装備ですからね!(ドヤ顔)

 

それから後、私はライアンさんをスタメンとして採用し続け、装備も一番良いものをあてがってあげた。

リメイクをプレイしたときだって同じだ。さすがにキングレオ城に行く前にドラゴンキラーを買ったりはしないが、ライアンはやっぱりスタメンだったし、VIP待遇だ。

 

夫から今でも「ライアンって馬車に突っ込んどくキャラでしょ。普通はアリーナ(ライアンさんとポジションが被っている、めちゃくちゃ強いキャラ。しかも可愛い)使うし」と言われたりするが、失礼な話である。うちのライアンさんが馬車に入ることなんてないのだ!ないったらないのだ!

「ライアンですが、馬車内の空気が最悪です」?

知りませんね、そんなスレ。

 

おっと、筆が荒れてしまった。

 

 

 

そんなこんなでライアンさんにのぼせた小学生の私が出会ったのが、久美沙織さんによる小説版『ドラゴンクエストⅣ』だ。挿絵はいのまたむつみさんが担当。文章もイラストも耽美な雰囲気が漂う、小学生が読むには少し大人な内容だった。

 

いやもう、ここのライアンさんが渋くてカッコ良くってねぇ……(恍惚)

ドラクエ4コマ劇場』という公式4コマアンソロジーではお硬く、冴えない脳筋おじさんとして描かれがちなライアンだが、小説版は孤高の存在だ。人と群れたりしないし、影も背負っている。他のメディアでのライアンさんの一人称は「拙者」だが、小説版では「俺」だ。一人称が「俺」の孤高のおじさん……。渋い。

 

それに、いのまたさんの挿絵も良い。

ゲームイラストでのライアンさんはピンクの鎧を身に纏ったカイゼル髭のおじさんだ。

だが、小説版の挿絵でのライアンさんはこうだ。

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右側のキリッとしたお顔の素敵なおじさまが、ライアンさんである!

やだー、もー、すーてーきー!!!!!!

うっかり我を忘れてはしゃいでしまいそうになる。

 

言動だってかっこいい。

「聞け、化け物ども! 見るがいい。この血塗られた剣を……‼︎ おれは敵だ。あなどれない戦士だ。冷血の殺し屋だ。おれの邪魔をするな。もう、貴様らを切ることを、けしてためらいはしない。ほんとうに死にたいやつだけ、かかって来るがよい‼︎」

 

久美沙織著『小説 ドラゴンクエストⅣ ①魔起黎明』、株式会社エニックス

いつもは寡黙なライアンさんなのだが、ふとしたときにこんな感じで叫んじゃったりもする。そして、我に返ってホイミンに謝るところがちと可愛い。

 

とにかくかっこいいライアンさんを堪能するなら小説版をおすすめしたいという話だった。

全4巻。ライアンさん的には一巻と三巻が特におすすめだ。一巻は第一章を小説化したもので、三巻には勇者一行と合流する前のライアンさんのオリジナルストーリーが収録されている。

現在は3巻構成の新書版となってリリースされているらしいが、個人的にはいのまたさんイラストの旧版に未練がある。いのまたイラスト版の電子書籍化は無理なのかなぁ……。