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『ドラゴンクエストⅣ』第三章クリアに半年かかってしまったという話

先日、小学生の頃に『ドラゴンクエストⅣ』でRPGに初めて触れ、四苦八苦する中で戦士のライアンさんにハマってしまったという話をした。

nhhntrdr.hatenablog.com

この記事で第三章に苦戦したことについて少し触れているのだが、その件について語ろうと思う。

なお、これを語るに当たってドラクエ4第三章のネタバレを盛大にしているので、どうかご注意いただきたい。

 

 

前回の記事でも触れているが、改めて説明しておきたい。ドラクエ4は章立ての構成となっており、第一章から第五章に分かれている。それぞれの章で主人公は異なっているが、基本的な流れとしては、モンスターを倒してレベルアップを重ね、章のラストでボスと戦うという形だ。

だが、第三章だけ毛色が違っている。主人公は武器屋トルネコ。彼はレイクナバという街の武器屋で働いていたが、ある日、世界一の武器商人になると決意する。

モンスターを倒してレベルアップし、強くなる必要はあるのだが、基本的に第三章で求められるのは金策だ。そのため、他の章のように強いボスと闘う必要もない。慣れた人であれば、ちゃちゃっとクリアできるような内容だ。

 

 

一応、第三章の流れをざっくりと紹介する。

自分の店を構えることを夢見て、トルネコは旅に出る。ダンジョンでお宝を獲得したりしながら旅を進めるうちに、彼はボンモールという国にたどり着く。

ここの王様は川を挟んだ先にある大国エンドールを狙っていた。だが、川にかかっていた橋が壊れており、今のままでは進軍がままならない。これを修理できるのは大工ドン・ガアデだけ。しかし、ドン・ガアデは現在行方不明なのだった。

トルネコは「ボンモール北の村」でドン・ガアデを見つける。しかし、ドン・ガアデは村の女性と恋仲になっており、村から動こうとする様子もない。さらに村を探索してみると、何かが怪しい。この村は狐の村で、ドン・ガアデ以外の人間の正体は狐だったのだ。

狐の術を解くには犬が必要だ。トルネコに犬を提供してくれたのは、レイクナバ出身の青年だった。彼はひょんな事から牢に入れられていたが、トルネコによって助け出されていた。そのお礼として、飼い犬を差し出したのだった。仲間になった犬のおかげで狐の術も解け、ドン・ガアデは我に返る。かくして橋の工事が始まり、ボンモールエンドールを繋ぐ道が復活した……。

 

 

 

私が躓いたのは、ボンモールでのことだ。城の地下牢で、先に紹介したレイクナバ出身の青年と話をするというイベントがある。ここで彼に「キメラのつばさ(瞬間移動できるアイテム)」を渡し、地下牢を脱出させるのだ。その後、レイクナバへ行き、青年と会うことで犬をゆずり受けることができる。

しかし、地下牢には見張りの兵二人がおり、彼らは常に地下牢内を巡回している。彼らに見つかると、抵抗する間もなく牢から追い出されてしまう。だから、壁のくぼみなどを利用して身を隠し、タイミングを見計らって青年に話しかける必要があるのだ。とはいえ、それほど難しいことではない。一、二度失敗するかもしれないが、そう苦労せずに青年に話しかけることができるはずである。

 

はずである。あの頃の私はできなかった。

まず何も知らない状態で地下牢に行った私は、のほほんとその場を探索しようとした。その瞬間、叱責の声が飛ぶ。

「何をしている!」

たちまち、兵がトルネコを囲む。

「侵入者だな!さっさと出ていけ!」

私が唖然としているうちに、トルネコは地下牢から追い出された。

何だこれ、怖い……。ビビりの私は、たったこれだけの出来事で震え上がった。やだ、ここ怖いから、もう行きたくない。近寄らないようにしよう、と思ったわけである。

 

だが、青年に話しかけない限り、犬をもらうことができない。犬がいなければドン・ガアデを救出することもできず、エンドールへの橋も壊れたままだ。

ええーい、ドン・ガアデの奴は何をやっている!私は苛立った。狐も狐だ。いらんことをしていないで、さっさとドン・ガアデを返してくれ!

仕方がないから、私は狐たちから攻めることにした。ボンモール北の村に突撃である。

 

ところで、ボンモール北の村は狐の術がかけられているので、普通の村とは異なっている。一度入ると、抜け出すことができない。どのような構造になっているかは、下のリンクを参照していただきたい。

dq.opatil.com

村に入ると、まず一番下の道に足を踏み入れることになる。ここから上部の村へ行くと、ドン・ガアデや村の人々と話すことができる。

さて、村の人々とは一通り話ができたから帰ろうと思い、もと来た道を帰ろうとする。だが、戻れないのだ。道はループしている。画面の端まで行くと、また同じマップが現れる。行けども行けども同じマップが続くのだ。ここから抜け出したい場合は、村長に話しかけて家に泊めてもらうと良い。一晩明けるとトルネコは何もない森の中に放り出されており、ようやく村の外に出ることができる。

 

私はこの不思議な村を隅から隅まで探索することにした。このループし続ける村も、探索をくり返していれば、いつかは端っこにたどり着けるだろう。今まで私が見てきた村はまやかしの村で、いつかたどり着く端っこのマップにある村が本物の村だ。そこで狐と対決し、ドン・ガアデを助け出さねばと考えたのだった。

 

今なら言える。んなわけねーだろ、と。当たり前だがどれだけ進んでも、本当の村なんて出てきやしなかった。だが、希望を捨てきることもできない。私は村周辺でちまちまとモンスターを退治しながら、折を見て村の探索に励んだ。

ここで半年費やしてしまったのだ。どう考えてもアホである。

 

 

さすがに私も気づいてはいた。やっぱり、地下牢の青年を助けないといけないんじゃね?だけど、あそこには行きたくない。

そこで私はすっからかんの脳みそをフル回転させた。結果、思いついたのが友だちにやってもらおうという考えだった。ドラクエ4未プレイの彼女に、ボンモールの地下牢の兵がいかに怖いか、私は熱心に語った。

「ね、気になるやろ?こんな怖い兵士を見てみたいやろ?見せてあげるから、うちにおいで!」

こうして私は友だちをだまくらかして家に連れ込み、ファミコンのコントローラーを握らせた。彼女ははじめの二、三回は失敗したものの、すぐにコツを掴んで青年への接触に成功した。

 

このときの私の喜びは、筆舌に尽くしがたいものがある。もうクリアできないと諦めかけていたのに、突然道がパッと開けたのだ。

いや、もう彼女は神である。彼女がいてくれたからこそ、私はドラクエ4を最後までクリアすることができたのだから!

 

 

ようやく私はドン・ガアデを救出し、エンドールへ辿り着くことができた。その後、いろいろあってトルネコエンドール王によって城下町に店を出すことを認められる。折良く、城下町には店舗に相応しい空き家があったのだ。持ち主の老人はトルネコに35,000ゴールドで店を譲ると申し出た。

 

35,000ゴールドがどのくらいの価値かを軽く説明しておきたい。この時点で、エンドール城下町で買える一番高い武器「せいぎのそろばん」が1,500ゴールド。エンドール周辺で出現するモンスターが落とすゴールドは、せいぜい二桁だ。35,000ゴールドは、掻き集めるのにかなり骨が折れる金額となっている。

その解決策として提示されるのが、近くにある洞窟から「銀の女神像」というアイテムを入手することだ。街の好事家が欲しがっており、彼なら35,000ゴールドで買い取ってくれるだろうというわけである。

 

 

だが、私はエンドールに着いた頃には手持ちの金が35,000ゴールドを突破していた。半年モンスターを狩り続けていた報いが、ここで返ってきたのである。

辛かった!正直、ボンモールの辺りは辛かった!結局、辛かった原因は自らのおバカでしかないのだが、本当に辛かったんです!その辛さが、ようやく報われたんです!

 

 

その後もエンドール王から頼まれごとを引き受けたりして、もう少しだけ物語は続くのだが、あまり覚えていない。それぐらい、第三章はボンモールの地下牢に手こずった記憶しかない。

 

 

とにかくドラクエ4初回プレイは第一章と第三章で足踏みをしたのだった。

どちらの章も、ちゃんと街の人の話を聞き、そのヒントを頼りに冒険を進めていけば、あっさりとクリアできるような内容だ。決して『ドラクエ4』は鬼畜難易度なゲームではない。

ただ、私が愚かなだけだったのだ。そう、ただただ愚かなだけだったのだ。

 

 

小説版のトルネコは、狐の村をあっさり切り抜けていて羨ましいと感じた思い出。

 

ところで小説版ドラクエ4は章ごとに文体を変えているのが凝っているなぁと思う。序、一、二、五章はベーシックな三人称だが、第三章は「ですます調」文体で、ノリも絵本のような感じ。第四章は主人公マーニャの一人称なのだが、普段は明るい彼女の意外に脆い部分や妹ミネアに対する嫉妬心(もちろん、愛情も抱いてはいるのだが)などが描写されている。だからこそ、第五章でマーニャが登場していると、「今、彼女はこのように振る舞っているけれど、本当は辛いと考えているんじゃないか?」なんて考えさせられたりもする。

また、三人称文体の章も、やはり章ごとにテイストが異なっている。ピサロとロザリーが主人公の序章は耽美だし、第一章は戦士ライアンが主人公なだけに無骨な雰囲気をかもし出している。

また、第五章で勇者が旅立った直後に挿入されるミネア、トルネコ、ブライ、ライアンのストーリーは、それぞれのキャラの一人称文体を採用している。特に、ミネアの一人称のパートが面白い。というのも、我々読者は第四章にて、マーニャの目を通じてのミネアしか見ていなかったわけだ。マーニャから見るとミネアは他人に守られてばかりでいいご身分だよなぁと思っていたが、やはりミネアの視点から見ると彼女も苦労しているわけだ。

そんなこんなで、小説版も読み応えがあって面白いので、推させていただきたい。

いのまたむつみ挿絵版に未練はあるけれど、すぐに読めるという点ではやはり電子書籍版がオススメだ。