『戦場のメリークリスマス』原作者のヴァン・デル・ポスト卿による（おそらく）ノンフィクション小説『新月の夜（The Night Of The New Moon）』の感想記事も、何とか最終回を迎えることができた。
この記事では、おおまかなあらすじと登場人物の紹介を行いたいと思う。
※本編の感想記事はこちら
あらすじ
ジャワ島陥落により、日本軍の捕虜となった「私」。仲間たちと共に収容所内で日本軍からの虐待を受けていた。しかし、戦況は日本の敗北へと傾いていく。日本での滞在経験を持つ「私」は、敗北の際に日本人は自決し、その際に捕虜たちも巻き添えにするのではないかと危惧していた。無線機によって外界の情報を得ていた「私」だったが、あえなく故障してしまう。危険を冒して新たな無線機をつくり、情報を探っていたところ、広島にただならぬ出来事が起こったというニュースを耳にする…。
登場人物
連合国側
私
著者ヴァン・デル・ポスト本人。ジャワ島陥落により、日本軍の捕虜となる。
Nichols
英国空軍の航空団長。ジャワ島陥落後、「私」が投獄された収容所にいた上級将校。
中国人の友人（my Chinese friends）
収容所の外で暮らし、「私」たちに何かと協力してくれている。
Kim
島の日本軍情報部で働く韓国軍クリスチャン。「私」に対してコンタクトを図る。
Blackwood
英国空軍士官。ハルク島の生き残り。
Donaldson
スコットランド人の英国空軍少尉。レムバンのABDACOMの陸軍総司令官テン・ポールテンの降伏命令に従わず、日本軍に対して抵抗を続けていたが、あえなく降伏する。収容所では、外界の協力者と「私」の仲介役となる。
Cicurel
アメリカ人だが英国空軍所属。古代エジプト系ユダヤ人。「私」たちによってDonaldsonのチーフ・アシスタントに任命された。小柄だが気性が荒く、不屈の精神を持っている。
Mr Tan
小柄な中国紳士。バタビヤで商いをしていたが、捕虜収容所に入れられた。外界の中国人とのコネクションを持ち、「私」たちを手助けする。寛大で穏やかな精神ゆえに皆の尊敬の的で、それゆえに敬意を持って「Mr Tan」と呼ばれた。
英国空軍の中隊長（Royal Air Force squadron-leader）
移動後の収容所にて、「私」自らが選んだ部下。日本軍による大虐殺に備え、「私」と共に抵抗の準備をする。
Jongejans
オランダ人中尉。日本語が得意で日本人と捕虜たちの仲介役となる。勇気と知性に溢れており、容貌は若き日のゴッホにそっくり。戦後、オランダ外交の要人となり、文革中の中国にて紅衛兵からの圧力と戦ったりもした。
‘Micky’MacGuire
英国空軍中佐。バトル・オブ・ブリテンにも参加したことがある。日本軍が設立した現地の軍需産業に協力できる技術者の名簿を拒否した件でモリから詰問され、椅子で殴られる。
Max al Kahdri
オランダ軍の将校。アラブ系の血を引いており、父はボルネオ島のスルタン。無線機に詳しい。
Ian Horobin
イギリス王立空軍の将校。無線機が修理された後、「私」が外界のニュースを共有していたうちの一人。敬虔なクリスチャン。
日本軍
モリ（Gunzo Mori）
准尉。ハルク島の看守だったが、生き残りと共に「私」のいる収容所へやって来た。日本軍設立の軍需産業に協力できる技術者の名簿を提出するよう「私」たちに要求するが、拒否されて激昂。将校たちを呼び出し、暴力を振るう。
後に戦犯として絞首刑に処される。
カサヤマ（Kasayama）
モリの朝鮮人従卒。カサヤマは日本名。戦後、モリと共に絞首刑に処される。
テラウチ（Field-Marshal Terauchi）
おそらく寺内寿一のこと。陸軍大将。南方軍総司令官。降伏をよしとせず、東南アジアに存在する捕虜を虐殺しようとする。
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