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最近観た映画についての軽めの感想(2023/07/10 『三島由紀夫vs東大全共闘』『アビゲイル・ハーム』『アラビアのロレンス』)

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※注意!『三島由紀夫vs東大全共闘』『アビゲイル・ハーム』『アラビアのロレンス』のネタバレがあります。

 

 

 

 

『三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実』

がっつり感想を書きたいと思ったものの、内容の高度さに私は敗北した。鑑賞自体は今回でもう5回目か6回目くらいなのだが、さすが賢い人の言っていることはわからない。ただ、それでも言葉と言葉の鋭いやりとりは、わからないにも関わらず観ていて興奮してしまう。

後半、三島由紀夫と東大全共闘は同じものと戦っていたのではないかという説が提示される。右翼的天皇主義者の三島と左翼である東大全共闘。彼らの運動はどちらも反米愛国を目的としていた、という説は中々に刺激的だった。

 

もっと突っ込んで理解したい欲はあるものの、彼らの言葉を理解するためには古今の哲学をかじらねばならぬ模様。早速、三島が本編中で「私の大嫌いなサルトル」と言いつつ引用していた『存在と無』を取り寄せてみたが、さすがに哲学初心者には早すぎる内容だというのは頁をペラペラめくった所で察した。またしても敗北である。

とりあえず、飲茶さんの『史上最強の哲学入門』から勉強を始めることにしました。頑張ります。

 

 

 

 

 

『アビゲイル・ハーム』

視覚障害者のため、手紙や物語を読んで聞かせる訪問ソーシャルワーカーのアビゲイル・ハーム。世話をした老人からある廃墟に行くよう示唆された彼女は、訪れた廃ビルで不思議なアジア人青年と出会う。アビゲイルは彼を自宅に連れ帰り、面倒を見ることに。

 

引用元:アビゲイル・ハーム - 映画情報・レビュー・評価・あらすじ・動画配信 | Filmarks映画

8年後の「ミナリ」で注目の的となった韓国系米国人のチョン監督が、朝鮮の民話「仙女ときこり」を着想の源とし、大都会で生きる孤独なヒロインの揺れ動く心を描いたインディーズ映画。

 

引用元:アビゲイル・ハーム | 映画 | WOWOWオンライン

途中、主人公が父から聞かされた話として「きこりと仙女」という民話が出てくるのだが、私が幼い頃に絵本で持っていた天女の話を思い出した。三保の松原の羽衣伝説である。

おそらく朝鮮の「仙女ときこり」と三保の松原の羽衣は、同じ話をルーツにしているのだろう。とある男が水浴びをしている仙女を見かけ、彼女の羽衣を隠す。天に帰れなくなった彼女と男は結婚するが、結局羽衣は仙女の手に戻り、彼女は天に帰ってしまう。どちらの民話も、ざっくりとした話の流れはこんな感じである(「仙女ときこり」は、この後ももう少し話が続く)。

『アビゲイル・ハーム』は主人公が中年女性アビゲイルで、仙女に当たる存在は謎のアジア人青年だ。民話と同じくアビゲイルは水浴びをしている青年の服を隠し、自分のもとから離れられないようにする。最初は自我があるかどうかすら怪しかった青年が、やがてアビゲイルに愛を向けるようになってくる。

それまで喋らなかった青年が、物語の中間点に到達したあたりで初めて声を出すのが印象的だ。ここを境に青年とアビゲイルの関係が恋愛へと傾いていく。

 

しかしこの作品、何を表現しているのかはやはりわかりづらい。アビゲイルの根底にある「父親との関係」という不安。そこに「きこりと仙女」が何らかの形で絡んでいるのだろうけど、1回見ただけでは理解するのは難しい。他にも作中で引用されている『鏡の国のアリス』も何らかのヒントになっているのだろうけれど。

よくわからない。さらに、最後にアビゲイルが取った行動についても、探れば何通りも意図が見えてくるようで、結果ピンと来る解釈にたどり着けない。

だからこそなのかもしれないが、妙に記憶に残る。もにゃもにゃとした形で頭にこびりつく。そんな作品だったなと思う。

 

 

『アラビアのロレンス』

名作中の名作と名高い『アラビアのロレンス』を今更観賞した。もっと早く観るべきだった。

あまり前知識のない状態で観賞したので、観賞後に以下の動画を見て私はたまげた。

町山智浩の映画塾!「アラビアのロレンス」 <予習編> 【WOWOW】#114 - YouTube

町山智浩の映画塾!「アラビアのロレンス」 <復習編> 【WOWOW】#114 - YouTube

おお、こんなバックストーリーというか、隠されたメッセージというか何というか、そういうのがあったのだな、と。奇しくも観賞中にロレンスの美しさにムラムラしていた私の腐女子心が何やらストンと腑に落ちた気がする。

 

とにかく見終わった後も、ロレンスの美しさが頭から離れてくれない。英国軍の軍服姿もそれはそれで良いのだけれど、やっぱりあの有名なベドウィンの民族衣装に身をまとっている姿が美しいったら。青い瞳に白いヒラヒラの衣装がこの上なくマッチしているんだ、これが。

ピーター・オトゥールといったら私の中では『ラストエンペラー』のジョンストン先生なのだが、先生、若い頃はこんなに美男子だったんですね!これからジョンストン先生を見る目が変わりそうです!

 

とにかく「ロレンス美しいぶぁい…」とだけ考えながら見ていたので、町山さんの解説を聞いて、勿体ないことしたなと後悔しきりである。こんな深い話だったのに、3時間47分ロレンスに萌えただけで終わってしまったのか私は!

ということで、町山さんの解説を踏まえた上で、近日中に再度観賞したいと思っている。今度はロレンスの美しさに惑わされたりなんかしないんだからね!…いや、やっぱり自信ないわ。

 

 

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