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私の『SP 革命篇』を返して

今週のお題「忘れたいこと」

 

 

私は岡田准一くんのファンである。彼が関西なまりでしゃべっている頃からのファンだ。もちろんV6としての活動も応援していたし、俳優業での活躍も嬉しく思っていた。

 

岡田くんの代表作と言えば、『永遠の0』や『図書館戦争』シリーズなどが挙がってくると思うが、彼の転機になったシリーズと言えば間違いなく『SP』シリーズだろう。激しいアクションを要求されるこのシリーズにより、岡田くんは本格的にアクション俳優への道へと踏み出した。

 

V6ファンとしても、『SP』シリーズは思い出深い。この頃のV6は(ファンとしては使いたくない言葉だが)所謂「低迷期」だった。

 

彼らの看板番組『学校へ行こう!MAX』が2008年に終了。これはかなりショックな出来事だった。1997年の始まりから、ずっと続いていた番組なのだ。終わりが来るなんて思ってもみなかった。その年のコンサートでメンバーが「でも新しい番組を始めるんで、期待してね」と言ってくれたのだが、件の新番組は関東ローカル。当時、地方で暮らしていた私は絶望したのだった。

 

「でも大丈夫、まだフジ系列で『VVV6 東京Vシュラン2』やってるし!」と己の心を鼓舞させていたが、それも2010年で終了。V6の姿を見る機会を失ってしまった。大ショック!である。

 

 

そんな中、私の希望だったのが『SP』シリーズだ。

2007年にテレビドラマ『SP 警視庁警備部警護課第四係』がスタート。その後、続編の劇場版が製作決定し、2010年に前編『SP 野望篇』、2011年に完結編『SP 革命篇』が上映されると発表された。これはもう、私にとっての命綱だった。2年連続で岡田くんの新作が観られるなんて!それに、この映画がヒットすれば、岡田くんが全国的に脚光を浴びるかもしれない!(余計なお世話である)

 

そういうわけで、まず『野望篇』は非常に楽しませていただいた。この映画のためにカリやジークンドーを習得しただけあって、テレビシリーズのとき以上にアクションにキレがある。冒頭からして物凄い。自動車の上から上へと駆け回り、裏路地で三角飛びをぶちかまし、トラックの荷台でテロリストと殺陣を繰り広げる。開始20分だけでも密度が濃いのに、クライマックスにも「これでもか」と入るアクションシーンの数々。ありがとうございます、お腹いっぱいです。私は天に感謝し、そしていずれ来る完結編『革命篇』への期待を高めていた。

 

 

さて、本題の「忘れたいこと」についてである。ここではSP 革命篇』のラストに言及しているため、ネタバレ注意だ。ネタバレOKという方は下にスクロールをお願いしたい次第である。

 

 

 

 

 

 

 

『革命篇』の公開初日、私は初回上映に駆けつけた。ずーっと待ってた。ストーリーの展開も気になっていた。岡田くん演じるSP・井上馨堤真一さん演じる上司・尾形との因縁が、どのような結末を迎えるのか。

テレビシリーズでは、警護課の上司と部下として信頼関係を築いていた井上と尾形。しかし、最終回で尾形がテロリストのグループとつながっていることを井上が知ってしまう。『野望篇』では尾形が井上にテロリストの仲間に入るように誘いかけるなど、ドラマティックな展開を見せていた。

ああ、この二人は『革命篇』で和解できるんだろうか?できるとしてもどうやって?期待が高まって仕方ない。

 

しかし、そんな私に対して刺客が送りこまれていた。隣の座席のねーちゃんがぺちゃくちゃしゃべりまくる輩だったのだ。今風に言えば、隣席ガチャに外れてしまったのである。

ねーちゃん、とにかくしゃべるしゃべる。何かがあるたびに「ここで○○なことが起こるんじゃない?」「あの人怪しくない?」と連れに語りかける。頼む、黙っててくれ。しゃべりながら観たいなら、ブルーレイが出るのを待ってくれないか。気が散って仕方ないんだ。

せっかく岡田くんの活躍を見に来ているのに、どうしても意識が隣のねーちゃんに向かってしまう。ああ、悔しい。

 

ところで、井上は警察官のくせに手錠を忘れがちというキャラクターだ。テレビシリーズではテロリストを制圧した直後、尾形に手錠を貸してくれるように頼むシーンがお約束。「手錠、持ってないんで」というのがお決まりのセリフだった。

 

そして『革命篇』である。井上と尾形は己の正義をかけて戦い、ついに尾形は己の敗北を認める。SAT突入の気配を感じる中、尾形は井上に言う。

「俺を逮捕しろ。他の奴にはされたくない」

だが、井上は言った。「無理ですよ」

その直後、隣のねーちゃんは井上が続きを言う前に、こう言ったのだ。

「手錠、持ってないんで」

一瞬遅れて、井上が同じ台詞を言ったとき、私はハニワ顔になっていた。

おま、おま、おま……何してんだよ!そういうことは心の中で言ってくれよ!

 

悔しいことに私の中でこのシーンと、ねーちゃんの声が結びつき、記憶に定着してしまった。その後、複数回『革命篇』を劇場に観に行ったが、例のシーンに差し掛かると、ねーちゃんのことを思い出してしまう。ブルーレイを購入した後も同じだ。

 

私は忘れたい。あのねーちゃんのことを忘れたい。純粋に『革命篇』のクライマックスシーンを観たい。

ねーちゃん、私の『SP 革命篇』を返して!

 

 

(「今週のお題」にチャレンジしてみました)