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『ライフイズストレンジ』(LISシリーズ第一作目)ネタバレ感想①(エピソード1、2)

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※注意!『ライフイズストレンジ』の(重要な部分も含め)ネタバレがあります。

 

 

 

アドベンチャーゲーム『ライフイズストレンジ』を久しぶりにプレイした。初代こそ至高と言われるだけあって、やっぱり面白い。謎に満ちたストーリーは勿論、主人公マックスの「時間を巻き戻す」という能力を駆使して状況を打破していくというゲーム性も面白い。

www.jp.square-enix.com

 

過去に2の感想記事を書いたことがある。2も私は大好きなのだが、街から街へと移っていくロードムービー的な2に対し、第一作目はアルカディア・ベイという街が舞台に固定されている。その分、街の中で渦巻く陰謀をひとつひとつ解き明かしていくというスリルや面白さを味わえるのが良い。

そういうわけで、第一作目の感想である。物語はエピソード1~5に分かれているのだが、今回はエピソード1と2の記事にしたいと思う。

 

 

『ライフイズストレンジ』とは

公式サイトによるあらすじは以下の通り。

『Life is Strange』 はプレイヤーの選択によって物語の内容が変化するアドベンチャーゲームです。主人公は、オレゴン州の田舎町にある高校で写真を学ぶマックス。突然、時間を巻き戻す力を手に入れた彼女は、5年ぶりに再会した親友のクロエとともに、女子生徒レイチェル・アンバーの失踪事件を調べ始めます。
物語の舞台となるアルカディア・ベイは、豊かな自然に囲まれた海沿いの町。フィッシング競技やビッグフットの話題で活気づいた当時の面影が、訪れる人々の郷愁を誘います。時間を巻き戻す力との関係は不明ながら、マックスは、この静かな町が巨大な嵐にのみ込まれる白昼夢を何度もみることになります。
プレイヤーはマックスを操作し、全寮制のブラックウェル高校で学校生活を送っていきますが、マックスの能力によって好きなタイミングで時間を巻き戻すことができます。発言や行動を何度もやり直せば、学校内外の人間関係をうまく築いていけるほか、物理的な危険も回避することができます。ただし、今は良さそうに思える選択が、後々良い結果をもたらすとは限りません……。

 

引用元:Life is Strange | SQUARE ENIX

以上の通り、主人公は高校生のマックス。彼女は物語の冒頭で突然、時間を巻き戻す能力を手に入れる。能力の目覚めと前後するように、マックスは自分が通っているブラックウェル高校で起こっている不穏な出来事の数々に気づく。失踪中の生徒、生徒間でのいじめや脅迫…。能力を駆使しながら不可解な出来事を追っているうちにマックスは、ブラックウェル・アカデミーやアルカディア・ベイの暗部に踏み込んでいくことになる。

 

各エピソードの感想

エピソード1「サナギ」

サブタイトルからして「サナギ」と来た。

少しプレイすればすぐにわかるが、マックスは内向的な少女だ。写真家を目指してブラックウェル高校に来たにもかかわらず、他人から笑われることを恐れて作品を提出できない。同じクラスのビクトリアから馬鹿にされても、言い返すことすらできず、自信をなくすばかり。

アバンタイトル的なパートが終わり、オープニング曲「To All Of You」が流れ出すシーンは自分と言うからに閉じこもったマックスを象徴しているように思える。生徒たちがはしゃぐ高校の廊下を、イヤホンを装着してひたすら歩き続けるマックス。周りの声をシャットアウトし、誰かに話しかけることもない。

 

写真家になりたいが、自分の才能に自信が持てない。誰かに笑われるのではないかと、常にビクビクしている。大人になるため、写真家になるため、サナギを破って孵化しなければいけないのに、頑なに外へ出ようとしない。それが、マックスという少女だ。内側へと籠もろうとしているから、プレイヤーである我々にも本音を簡単には見せてくれない。

 

このゲームには、マックスの書いた日記という形式で、今までのあらすじを確認できるシステムがある。ここには本編中でマックスが語ることのなかった心境や、本編前(マックスがブラックウェルに合格し、入学するまで)の出来事も書かれていたりして、なかなか興味深い。

当初マックスはブラックウェルに合格したとき、新しい自分へと変わるチャンスだと考えていた。ブラックウェルに入学するため、かつて暮らしていたアルカディア・ベイに引っ越すことになったマックス。荷造りの様子も日記に書かれているが、新しい環境に対して心を躍らせている様子が見て取れる。だが、現実は彼女の期待通りには行かなかった。いざ入学するとビクトリアや彼女の仲間たちから軽蔑されることで、自信を喪失したらしい。

 

そんな彼女に訪れた第一のターニングポイントが力の目覚めであり、第二のターニングポイントがかつての親友クロエとの再会だ。

 

5年前、マックスがアルカディア・ベイを出て行くまで、いつも一緒だったクロエ。そんな彼女とマックスは引っ越し以降、連絡をしていなかったという。

マックスの引っ越し前、クロエの父が交通事故で亡くなるという事件が起こったのだが、

クロエはおじさんが亡くなったことで、今も傷ついてるんだと思う。
同じ立場だったら、私だってそうなってたかも……
あのときはクロエもジョイスおばさんも、すごくつらかったはず。

ひどい話だけど、そんなときに引っ越しが決まって、私、正直ホッとしたのかも……

 

引用元:キャラクター | Life is Strange | SQUARE ENIX

引っ越し後の忙しさを言い訳に、父親を亡くしたクロエから距離を置いていたことに対し、マックスが罪悪感を感じていたことが、本編中で何度も匂わされる。

 

実の父を失い、マックスから距離を置かれ、母は別の男と再婚する。誰からも見捨てられたと絶望していたクロエの心を救ったのが、ブラックウェルのアイドル的存在レイチェルである。だが、そのレイチェルは物語開始時には失踪中という状況で、クロエは彼女を捜すために躍起になっている最中だった。

 

クロエへの罪悪感だけでなく、レイチェルへの嫉妬心も後の日記で見え隠れするのが興味深いと思う。この嫉妬心、恐らくマックス自身は気づいていない感情だが、何かの折に触れては顔を出してくる。マックスとは違い、生徒たちから人気があり、自分に自信があり、クロエとも確固たる絆を確立している。何となく、レイチェルとはマックスのコンプレックスを象徴化したようなキャラクターではないかと思える。そんなレイチェルの行方をクロエとともに追うというのが、マックス自身が抑圧している本来の自分を取り戻すこととイコールになっているような気がするのは、気のせいだろうか?

 

エピソード2「時間切」

レイチェルの失踪事件以外にも、ブラックウェルにはきな臭い事件が起こっており、エピソード2からは本格的にそれらの事件を追うことになる。

特に今回フォーカスされるのが、マックスのクラスメイトのケイトだ。彼女はトップカーストの生徒たちのサークル「ボルテックス・クラブ」のパーティに参加した際の痴態を撮影され、その動画が拡散されているところだった。その痴態にしてもケイトの本意ではなく、薬を盛られて意識を失ったゆえのものらしい。

 

マックスは何とかケイトを支えようと頑張るものの、力及ばず。ケイトは遂に自殺へと踏み切る。ここで彼女を救えるか否かはプレイヤーの選択肢次第なのだが、どちらにせよ、この出来事を経てマックスが腹を据えて、学校や街を救おうと決意したのが印象的だった。

ちなみにケイトを救えた場合、日記にはケイトを救ったことへの安堵だけでなく、ケイトの救出を通じて学校の皆に受け入れられたことへの喜びも書かれている。内気で何もできない自分から変わりたいと思いつつ、変われずにいたマックス。そんな彼女が初めて英雄的な行為をすることで、周りに認められる。何だかんだ言っても、それが嬉しいのは否定できない。正直に書かれたマックスの心境から、心の奥底ではマックスも「新しい自分へと変わる」ことを望み続けていたことが感じられた。

 

いずれにせよ、「自分には何もできない」と悲観的だったマックスが、エピソード2のラストに至って、ようやくヒーローになるための第一歩を踏み出したのだと思う。

 

 

最後に

今回はエピソード2までの感想にさせていただいたが、改めてプレイすると「変わりたいけど変わるのが怖い」というマックスの苦しみが、そこかしこに滲み出ていたように感じた。サナギに閉じこもったままの少女マックスが殻を破り、何らかのヒーローへと変革を遂げるというのが『ライフイズストレンジ』という物語なんじゃないかと思った。

 

 

※続きはこちら

nhhntrdr.hatenablog.com

 

 

 

※『ライフイズストレンジ』シリーズの記事

nhhntrdr.hatenablog.com

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