映画っていいねえ。本っていいねえ。

映画や本の感想など。ネタバレ全開なので、ご注意ください。

『僕たちの嘘と真実 Documentary of 欅坂46』ネタバレ感想――この映画は無力感に立ち向かった少女たちの物語だ

※注意!『僕たちの嘘と真実 Documentary of 欅坂46』のネタバレがあります。 今回は、欅坂46のドキュメンタリー映画『僕たちの嘘と真実 Documentary of 欅坂46』についての感想である。 本文に入る前に、まず私の欅坂46(櫻坂46)に対するスタンスを説明させ…

映画版『ディア・エヴァン・ハンセン』感想4回目。コナーを自殺に追いやったのは何だったのか。

※注意!映画版『ディア・エヴァン・ハンセン』『アナと雪の女王』『アナと雪の女王2』『JOKER』のネタバレがあります。 今回は、前回の記事で取り上げきれなかったコナーの自殺について考えてみようと思う。 nhhntrdr.hatenablog.com

『映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』ネタバレ感想――世界は残酷で、私たちの願いなんて聞いてくれやしない。でも、希望はきっとある。

※注意!『映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』『「鬼滅の刃」無限列車編』のネタバレがあります。 『TVアニメ「鬼滅の刃」無限列車編』が最終回を迎えたこともあり、LiSAの「炎」をリピートしていた。 「願い」は無力だ 油断できない「逆詐欺映…

映画版『ディア・エヴァン・ハンセン』感想3回目。エヴァンが「ブレーキを踏むことを学んだ」のは何故か?

※注意!映画版『ディア・エヴァン・ハンセン』のネタバレがあります。 ※12/19 タイトル変更しました。 『ディア・エヴァン・ハンセン』感想3回目である。 記事を公開した直後から「あ、やべ。これ書き忘れた」「なんかわからんが、新しい考えが浮かんできた…

映画版『ディア・エヴァン・ハンセン』感想2回目。「自分さがし」は身が引き裂かれるほどに辛く苦しいもの。それでも、私たちは本当の自分との対峙を続けなければならない。

※注意!『ディア・エヴァン・ハンセン』のネタバレがあります。 『ディア・エヴァン・ハンセン』2回目の観賞を終えた。前回は少し消化不良に感じたのだが、今回はただただ心が洗われる思いをした。モヤモヤしていた部分がストンと腹に落ちたのだ。 前回の記…

村田沙耶香『コンビニ人間』ネタバレ感想――そうだ!私は人間ではなかったのだ!

※注意!村田沙耶香著『コンビニ人間』のネタバレがあります。 「あー、コンビニ好きな人の話なのね」と思っていたら、そうではない。コンビニを命がけで愛している人の話だった。 「正常であれ」と強いられ 古倉さんが言及する「コンビニ店員」とは さいごに…

ディズニー・チャンネル『キャンプ・ロック』ネタバレ感想――歌はセリフより雄弁だ!

※注意!『キャンプ・ロック』のネタバレがあります。 2008年だったか2009年だったか。何とはなしにテレビをつけたままにしてパソコン作業をしていた私は、突然流れてきた歌に耳を奪われた。 何、この歌?え、CM?『キャンプ・ロック』って映画だか海外ドラマ…

思春期を描いた名作を読みつつ、あの頃のギラギラした苛立ちについて考えてみる――原田宗典『十七歳だった!』、綿矢りさ『インストール』『蹴りたい背中』

今回はネタバレをしない予定なので、いつもの注意書きはナシの方向で。思春期についての話である。 原田宗典さんにハマっていたあの頃 10代の鬼才が書いた名作『インストール』『蹴りたい背中』 お馬鹿で愛おしい思春期 原田宗典さんにハマっていたあの頃 久…

あの凶悪犯と私たちは全く違う人間だと断言できるだろうか?――加賀乙彦『悪魔のささやき』

※注意!映画『教誨師』のネタバレがあります。 はじめに 普通の人が凶悪犯に変わる さいごに はじめに 映画『教誨師』を観たとき、終盤のシーンでゾッとした。女性死刑囚が花粉症のつらさについて愚痴るシーンだ。教誨師である主人公が花粉症ではないことを…

『(500)日のサマー』ネタバレ感想――悪女?ビッチ?否!私は全力でサマーを擁護する!

※注意!『(500)日のサマー』のネタバレがあります。 『(500)日のサマー』の感想を検索すると、ヒロインのサマーに対する文句をちょこちょこと目にする。 いったん、それらの文句を「サマーは主人公トムを振り回した挙げ句、別の男と結婚した悪女」と要約させ…